若い世代を中心とした「節度ある飲酒」の動きが広がり、ノンアル/ローアルコール飲料の売上は急増しています。
ビールやプレミックスドリンクは、アルコール摂取量を管理するうえで分かりやすい選択肢ですが、カクテルやロングドリンクも十分その一部になれるのです。
自分がつくるドリンクのアルコール度数を知ることは、お客様に新しい選択肢を示し、納得感のある判断を促す手助けになります。
NG…液体の量を合計して、スピリッツの平均度数で割ること
これは正しくありません。
では、なぜ正しく知る必要があるのでしょうか?
それは、人々が「何を、どのように飲むか」により敏感になっているからです。この知識は、お客様がより納得のいく選択をする助けとなります。
また、度数が4〜7%程度の低アルコールカクテルの人気が高まっているからです。
そしてこれは、責任あるバーテンダーにとって欠かせないスキルでもあります。
難しそうに聞こえますよね…
まずは簡単な例としてドライ・マティーニから始めます。
これはアルコール度数が高めのカクテルですが、使う材料はふたつだけなので、シンプルな計算例として最適です。
レシピ:ビーフィーター ロンドン ドライジン60ml、ドライ・ベルモット15mlを氷とともにステアし、冷やしたカクテルグラスに注ぎ、オリーブを飾ります。
まず、アルコールを含む材料を特定します。
ここまでは簡単ですね。ジン60mlとベルモット15mlです。
それぞれのアルコール度数はラベルに記載されています。
通常、この値はパーセンテージ、つまりABV(アルコール度数)で表示されます。
この場合、ビーフィーター ロンドン ドライジンのABVは47%、ドライ・ベルモットは18%です。
では、ジンから始めましょう。
レシピのジン60mlが100%だとすると、そのうちアルコール分47%は何mlに相当するでしょうか。
総量を100で割り、その後アルコール度数をかけます。
答えは…28.2mlです。
同様に、ベルモット15mlの18%は2.7mlになります。
では、これらを合計します。ジン60ml(アルコール28.2ml)とベルモット15ml(アルコール2.7ml)を合わせると、75mlのカクテルに30.9mlのアルコールが含まれています。
ですが、マティーニは通常、75mlより多いですよね?
その通りです。ステアやシェイクの過程で氷が溶けるため、容量は増えます。
たとえば、濾して完成したマティーニの総量が130mlだったとしましょう。ジン60ml+ベルモット15ml+氷の溶けた水55ml(ABV 0%)です。
このときアルコール量はジン28.2ml+ベルモット2.7ml+水0ml=30.9mlとなります。
そうです。
つまり、30.9mlがアルコールの総量です。
ではパーセンテージはどう求めるのでしょうか。
単純です。総アルコール量(30.9ml)をカクテルの総量(130ml)で割り、100を掛けます。30.9 ÷ 130 × 100 = 23.77。つまり、このドライ・マティーニのアルコール度数は23.77%となります。
ABVは小数点第1位までの23.7%となります。
とはいえ、レシピどおりではなく、少し加減して調整をすることもよくありますよね。
そんなときは、目安として考えてみてください。ダッシュは1ml、大きめのスプラッシュなら5mlとして計算すると便利です。
他に気をつけることはありますか?
実はあります。
氷による希釈は重要なポイントで、シェイクやステアの仕方によって加わる水の量は変わります。
また、グラスのサイズもABVに影響します。たとえば240mlのハイボールグラスにソーダを加える場合と、350mlのハイボールグラスに加える場合とでは、最終的なABVは変わってきます(この記事で詳しく解説しています)。
私は数字に弱いのです。
ABVを計算する方法は他にないでしょうか。
もちろんあります。ここまでの手順を理解できれば、無料オンライン計算ツール(例:こちら)を使って、おおよその度数を算出することができます。
(編集部注:紹介したツールの正確性は保証しません。)
また、イギリスのように低リスク飲酒ガイドラインを策定している国もあります。
こうした情報は一般公開されていることが多く、一読の価値があります。
代表的なカクテルのABV(おおよその数値です)
以下は、「Clube do Barman」(クルベ・ド・バルマン)がまとめた人気カクテルのABVです。きっと驚かれるでしょう。
ブラッディ・マリー(アブソルート ウォッカ使用):ABV 8.25%
ジントニック:ABV 15.4%
モヒート(ハバナクラブ3年+炭酸水50ml):ABV 16%
スロー・ネグローニ(モンキー47使用):ABV 23%
ドライ・マティーニ(ビーフィーター ジン使用):ABV 23.7%
マルガリータ(オルメカ アルトス プラタ使用):ABV 30%
オールドファッションド(ジェムソン ブラックバレル使用):ABV 39%
より詳細な計算方法については、こちらをご覧ください。