正しいパートナーと共にバーを開くには

03 June 2024

Right-partner
失敗は#teachablemoments(学びの瞬間)になり得ます。 しかし、自分のバーを開くという大きな挑戦の中では、その失敗は痛手となり、高くつき、時には他人のせいにもなります。 モニカ・バーグ氏からシモーネ・カポラーレ氏まで、ホスピタリティ業界を代表するリーダーたちに、成功するためにどのようにパートナーを選び、また逆に避けているのかを尋ねました。

ニコ・デ・ソト氏は、世界各地で成功したバー開業と同義語のような存在で、最新の挑戦はロンドンの豪華な地下に誕生した「Wacky Wombat」(ワッキー・ウォンバット)です。


しかし、彼の心に今も強く残っているのは、上手くいかなかった一件です。
才能あるシェフの友人に説得され、マイアミのデザイン地区でレストラン兼カクテルラウンジを共同で立ち上げました。


最初から警戒すべき兆候はあり、わずか1年で終わりを迎え、パンデミックで閉店しました。


どこでつまずいたのでしょうか?
「そもそも彼らは、コンセプトについて私の意見に耳を傾けることがありませんでした」とデ・ソト氏はSIPフェイルズのインタビューで率直に語っています。
「直感に従わなかったこと、そして契約などで自分を守らず、いざという時に抜け出す手段を持たなかったことは、自分の責任でもあります。
結局のところ、人は経験を通じて学ぶものです。」


定番の「直感論」


自分の直感を信じること。
これは数多くのバー起業家が共通して口にする教訓であり、モニカ・バーグ氏も例外ではありません。
パートナー選びの秘訣を尋ねたとき、彼女の答えは即座に返ってきました。「直感に従うこと。」


その判断が正しかったのは、彼女がアレックス・クラテナ氏と組み、「Tayēr + Elementary」(タイア+エレメンタリー、2022年「World’s 50 Best Bars」第2位)を共同設立した時に証明されています。


一方、同じロンドンでは、クリス・タナー氏が2023年に「Dram」(ドラム)を開業しました。ソーホーに位置するこのウイスキーバーは、カフェやショップ、プライベートダイニングルームなども備えています。


彼の2人のパートナーは今では親友ですが、最初は何年も同じ職場で働いた同僚でした。


その関係性を彼は「まるで兄弟のよう」と表現します。


「意見が食い違うこともありますが、フェアに向き合って、互いに言うべきことを率直に伝えるだけです。
3人いるのは心強いですよ。多数決で決まるし、反対意見があっても受け入れざるを得ません。
時には黙って受け入れることを学ぶ必要があるんです。」


「何より大切なのは、全員がお互いに耳を傾け、互いの強みを尊重することです。3人とも異なるスキルセットを持っているからこそ、チームとして機能するのです。」


スキルを補い合う


地球の反対側、メルボルンのカーラ・ディヴァイン氏も同意見です。
バー・マネージャー、YouTuber、そして2023年「ヴィクトリア州バーパーソナリティ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたディヴァイン氏は、12月に仲間とともに「Goodwater」(グッドウォーター)を立ち上げ、最初のゲストを迎えました。彼女はその仲間の結婚式でブライズメイドを務めたこともあります。


それぞれのパートナーはホスピタリティ業界で地元のレジェンドであり、何か特別なものを持ち寄っているんです。


バーボンのブランドアンバサダーも務めたナサニエル・ホワイト氏は、百科事典のような知識と膨大なアメリカン・ヴィンテージウイスキーの個人コレクションを誇ります。一方でディヴァイン氏にとっては、法律のバックグラウンドが大いに役立っています。


「私たちは皆、きちんとしたパートナーシップ契約を結び、適切な解除条項も設定して、何かがうまくいかなかった場合でも全員がしっかり守られるようにしました。
もちろん、何も起こらないことを願っていますけどね!」


役割を明確にすることには、もうひとつ理由があります。それは業務の進行をスムーズにするためです。


「細かなことに全員が口を出すと、物事は前に進まなくなるんです」とディヴァイン氏は語ります。
「ですから、勝負どころを見極めることが大切です。
例えば、グラスの選択について自分の好みではなかったとしても、それでビジネス全体が崩れるわけじゃない。」


では、性格の多様性についてはどうでしょうか?


ディヴァイン氏は「いろいろな性格があったほうが良いと思います。お互いにバランスを取れますから」と話します。また、ロンドンの「Dram」(ドラム)を率いるクリス・タナー氏にとっては、性格こそが採用で最も重視する点だといいます。
彼は次のように語っています。「正しい姿勢と人柄さえあれば、私たちのやり方や期待していることを教えられます。


適切なマインドセットを持っていれば、成長できるし、その良い雰囲気をゲストにも伝えられるのです。」


良くも悪くも、性格がすべて


「正しい人格」というものはあるのでしょうか。
業界経験の浅い応募者には、「学びに貪欲であること」と「何かの一員として関わりたいという主体性」を重視するとタナー氏は言います。


一方で、職場の健全さやストレス管理の観点から、いわゆる「エナジーバンパイア」―周囲の活力を奪うだけで与えない人―のような特性は避けるといいます。


「私は、すべてが『交換』であるべきだと思っています」とタナー氏。
「アイデアの交換、創造性の交換、スキルの交換、そうあるべきです。」


最後に登場いただくのは、シモーネ・カポラーレ氏。バルセロナのバー、「SIPS」(シップス)が「World’s 50 Best Bars」で1位に選ばれた直後に取材しました。(編集注:残念ながら本プラットフォームのSIPとは関係ありません)カポラーレ氏は、この栄誉ある賞を通算5回獲得した唯一のバーテンダーです。


となれば、バー開業時にパートナーを選ぶ秘訣について、きっと賢明なアドバイスを聞けるのではないでしょうか。


質問をじっと10秒ほど考えた後、彼はこう答えました。「もうこれ以上バーを開くつもりはないので、新しいパートナーを探す気もありません!」
肩透かしかもしれませんが…上で紹介したほかのヒントがお役に立てば幸いです。

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