ゲストの夜を台無しにしないこと
相手が少し酔い過ぎていそうなときに、ラストワードやオールドファッションのような度数の高い一杯を出してしまえば、その人の夜を台無しにしてしまうかもしれません。
そう感じるときは、ありますよね。
だからこそ、その人に合った飲みやすい一杯を提案するようにしています。
気難しいゲストにも丁寧に接すること
ホスピタリティの要は、やはり思いやりだと思います。
こちらが思いやりを持って接すれば、おそらく相手もその態度に応えてくれます。
もちろん、なかには扱いにくいゲストもいますが、それでも丁寧に接することで少し態度が和らぐこともあります。
知識は共有しても、情報の押し付けはしない
私は、知識や経験を適度な範囲で伝えるように心がけています。
入店してすぐに大量の情報を一方的に浴びせられると、受け入れる余裕がなくなり、かえって悪印象につながってしまいますよね。
うまくタイミングが合えば相手に響くこともありますが、しばらく話したところで「しまった、やめておけばよかった」となることもあります。
私たちは常にそのさじ加減に注意しているのです。
自分のカクテルのことや、パリの街角でひらめいたアイデアなどを話したくなる気持ちは当然あります。
ですが、すべてのお客様がそうした話を求めているわけではないので、伝え方には注意が必要です。
ボディランゲージを理解すること
これはとても難しいことですが、重要なポイントです。私たちは超能力者ではなく人間ですから。
アイコンタクトはもちろん大切です。
ただし、人によっては目を合わせるのが得意ではない場合もあります。
一方で、興味を持っている人は正面を向き、少し前のめりになって話を聞いてくれるものです。
もし騒がしい店内なら、こちらの声を聞き取ろうと身を乗り出してくれることもあります。
そうした場合は「話を聞きたい」というサインだと理解できます。
逆に、軽くうなずいたり、にこっと笑顔を返すだけなら、そこで話を切り上げる合図かもしれません。パリでの思いつきのエピソードを披露するような場面ではないでしょう。
空間がつくるムード
ホスピタリティの場によって、重視する視点は異なります。
バーでは、目の前のお客様やテーブルといった小さな景色に注意を向けることが多いものです。
一方、大規模なイベントでは照明や音響、会場全体の雰囲気づくりにより力を入れます。
私たちのバーでも、サウンドやライティングにこだわり、雰囲気づくりを大切にしています。
大規模なイベントでは多くの予算や準備が投じられますが、もし照明や音響が不十分なら、どんなに立派な会でも台無しになってしまいます。
ゆっくり構えること
ほんの少し余裕を持つだけで違います。
若い頃の私は常に急いでいました。
話すスピードも速くて、相手の目を見て「こんにちは」と一言添える、そのわずかな余裕すら持てませんでした。
せいぜい「どうも、すみません」といった感じでした。
でも、それは経験が浅い頃によくあることです。
場数を踏み、ホストとしての自信がついてくると、ほんの数秒立ち止まるだけで余裕が生まれ、余計なミスをしなくなるのだと気づきます。
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