NG…「死んだときに寝ればいい」
睡眠を完全に飛ばすことは、そのまま死への近道になりかねません。
世界最長の不眠記録は11日と25分だといわれていますが、睡眠不足は1時間でさえ心身に悪影響を及ぼします。
『Men’s Health』(メンズ・ヘルス)誌によれば、眠気、イライラ、注意力の低下、ストレス、記憶障害、食欲増加、幻覚、そして長期的には糖尿病のリスク上昇などが報告されています。
日中のシフトに切り替える
ベン・ウィルソン氏が2023年にタップカクテルバー「The Honey Moon」(ザ・ハニムーン)を開いた際、少人数のチームは体調を崩す余裕がありませんでした。そこで各スタッフが月に1週間、地下のラボで日中勤務を担当するシステムを導入しました。
ウィルソン氏は@BarWorldofTomorrowのInstagram動画で、「夜間に休息をとれるので、睡眠のリズムをより整えられるのです」と説明しています。
夜勤そのものをやめる
「Lipstick」(リップスティック)のオーナー、サム・ワッサーマン氏は、子育てを始めてから夜の勤務をほとんどやめました。
「息子を寝かしつけるのは必ず自分だと決めています。その後に店に戻ることがあっても、放課後や夕食の時間には必ず一緒にいます」と同氏は語ります。
バーのフロアマネージャーやホテルのマネージャーにとって、夜勤は通常業務の一部ですが、短期間だけでも調整できないか相談してみる価値はあるかもしれません。
チャンスがあれば早寝を
アレックス・クラテナ氏は、ロンドンの名店「Tayēr + Elementary」(タイア+エレメンタリー)で月曜から土曜まで働きながら、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)カクテルやグッズ制作、さらにはポップアップのデザインスタジオといった数々の大型プロジェクトを同時に手がけています。
クラテナ氏はちゃんと眠れているのでしょうか。
「自分の睡眠リズムを管理しているとは言えませんが、小さい頃からあまり睡眠を必要としなかったんです」と、名高いミクソロジストであるクラテナ氏はSIPに控えめに語ります。
ただし、ひとつだけ秘訣を共有してくれました。「もし一週間がとても慌ただしかったら、日曜日の夜はとにかく早く寝るようにしています」
夜の仕事仲間から学ぶ
ホスピタリティに関する研究や体験談だけでは、得られる知識には限界があります。
夜勤者の眠りを改善する科学的なヒントを探し、ウェルビーイングの専門家ジャムナ・ジョーンズ氏は、医療従事者向けのトレーニングマニュアルを調べました。
ジョーンズ氏によると、睡眠は銀行口座のようなもので、睡眠不足によって「睡眠負債」が積み重なるのだそうです。
そして、その返済方法は、睡眠を最優先し、できるだけ長く休み、寝室の光を遮ることです。
中にはあまり知られていない解決策もあります。
例えば、帰宅時にブルーライトを遮断するメガネをかける方法です。
オレンジ色のレンズが青色の波長を遮断し、体に「今は夜だ」と伝えて眠気を誘います。しかも、ちょっとしたロックスター気分にもなれます。
もしかすると、ボン・ジョヴィのフレーズも、あながち的外れではないのかもしれません。