新しいお客様にコンセプトを伝えるには

14 June 2023

Consumer Knowledge
革新的なドリンクの組み合わせ、サステナビリティを体現する場、こだわりの味を提供する一流レストラン…あなたは自分のコンセプトの素晴らしさを理解していますが、果たしてゲストにも伝わっているでしょうか。 お客様に自社のコンセプトを理解してもらうことも重要な工程であり、その方法は一つではありません。ここでは業界の第一線で活躍する方々が、そのヒントを明かします。

徹底したスタッフ教育


オイスターとカクテル。そのシンプルさゆえに優雅な組み合わせです。
磯の香りあふれる新鮮な牡蠣を味わいながら、ぴったりと調和するカクテルを一口。
ペリン・“ペズ”・コリアー氏がこのアイデアに惚れ込むまで、そう時間はかかりませんでした。


彼は2021年、メルボルンの高級住宅街に「Pearl Diver」(パール・ダイバー)を共同設立し、全国から仕入れた牡蠣とともにティキスタイルのカクテルを提供しています。
では、ゲストにはどのようにその魅力を伝えているのでしょうか。


オイスターとカクテルを組み合わせることで、従来のシャンパーニュやミュスカデとのペアリングとは異なる体験が生まれ、それぞれのオイスターが持つ味わいの繊細なニュアンスをより引き立てることができます。


コリアー氏のチームは、国内各地からロックオイスターやパシフィックオイスターを仕入れています。


牡蠣は濾過摂食を行うため、その味わいは育った環境を如実に反映し、わずか数百メートル離れただけでも大きな違いが生じます。
そのため、ペアリングはより複雑さを増すのです。


「Pearl Diver」(パール・ダイバー)では、スタッフ研修を徹底することで、来店客がそれぞれのオイスターの個性をどう味わうか、そして丁寧に作られたカクテルがその体験の価値をどのように高めるのかを理解できるようにしています。


「私たちはすべてのスタッフが幅広い知識を身につけられるよう、多くの時間と労力を注いでいます。なぜなら、それがこの店の核となる部分だからです」とコリアー氏は語ります。


そして万が一伝えきれない場合でも、シャンパーニュを含む50種類のワインリストが用意されています。


強引に押し付けないこと


オーストラリア・シドニーにあるバー「Re -」(リー)は、サステナブルな店舗やメニューデザインの限界に挑戦しています。


このバーは、できる限りリサイクル・リユース・リパーパス・リパッケージを実践するというコンセプトで設立されました。


その取り組みは、牛乳キャップをリサイクルして作ったカウンタートップなどの家具・什器から、近隣のベーカリーで余った食材を取り入れたカクテルにまで及んでいます。


しかし、大手銀行本社の向かいにある静かな通りに立地していることから、その企業顧客が本当にこうしたコンセプトに関心を持つのかどうか、という疑問もありました。


バー・マネージャーのマット・デイル氏はこう振り返ります。「以前は伝えたいことがありすぎて、壁一面にコンセプトを並べていました。


ゲストは来店して『何を言っているのか全然わからない。ジントニックかビールが欲しいんだ』といった反応でした。」


その後、メニューに短い一段落だけ説明を載せるなどコンセプトの伝え方を簡潔にしたところ、来店客がスタッフと気軽に会話を交わすようになりました。


そして、知ってみると驚かれることが多いです。


「うちの食材は食事の食べ残しを皿からかき集めていると思っている人もいるんです。
実際には農家や市場、他の店舗から余剰品を仕入れ、それを使ってドリンクや料理をつくっています。


席についたゲストはこの光景を見て『すごい、信じられない!』と驚くんですよ。」
 

自分の信頼性を打ち出すこと


では、誰もが専門家を名乗る時代に、どのように信頼性を示せばよいのでしょうか。
その答えをよく知っているのが、アメリカ出身でパリに在住し、大学レベルのワイン講座を担当する一方で、ワイン文化体験と教育のエージェンシー「Girl Meets Glass」(ガール・ミーツ・グラス)を運営しているタニシャ・タウンゼンド教授です。


フランスでワインを教えるアメリカ人として、タウンゼンド氏は「正当性をどう伝えるかが何より重要だ」と語ります。


彼女のポッドキャスト番組の名前は『Wine School Dropout』(ワインスクール・ドロップアウト)ですが、実際にはその肩書とは裏腹に実績は確かです。


「私はこの業界でどれだけ長く活動してきたかを伝えます。
資格や取り組んできた仕事の内容も同様です。
今ではまず「教授」の肩書を名乗ります。人々は『教授なら大学レベルの学生を教えているに違いない』と考えるからです。
経験もなしに就ける仕事ではない、と理解してもらえるんです。」


無理は禁物


お客様にはどう伝えていけばよいのでしょうか?
2022年末に閉店したパリのレストラン「Abri」(アブリ)で、フレッド・ボンド氏は少し考えた後、こう冗談めかして答えました。「そんなことはしません」


過当競争のパリのレストランシーンにおいて、「Abri」(アブリ)は新たな存在感を放ちました。

一流の日本人シェフが非常にクリエイティブなフランス料理を提供し、その成果が評価されてミシュランの星を獲得しました。


フロアを率いていたフレッド氏の哲学は、ゲスト自身に料理を自由に探求してもらうことにありました。実際、メニューにはほとんど情報がなく、ゲストは自ら体験するしかなかったのです。


お客様から質問をいただければうれしいですし、質問がなくてもやはりうれしいんです。


つまり、どんな楽しみ方でも構いません。大事なのは、ここに来たことを楽しんでもらえること。


なぜなら、私たちは皆さんをお迎えできることを心から楽しみにしているからです。


シークレットソース——エッセンス版


ゲストにどのように向き合うにせよ、タウンゼンド教授のいうゴールデンルールを忘れないことが重要です。それは「必ず基本から始め、決して上から目線で話さないこと」です。
「もしお客様がすでにそのレベルを超えているなら、コメントや質問で自然とわかります。そのときは相手に合わせてレベルを上げればよいのです。」

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