NGは、「肉を使っていない=ヴィーガン」と思い込むことです。
ヴィーガンの食生活では、卵白や牛乳、はちみつといった動物由来の食材も避ける必要があります。
真にヴィーガン対応のカクテルにするには、これらの定番食材に代わる別の選択肢を見つける必要があります。
ゼラチンはNGです。
ゼラチンは自然で100%植物性の素材のように見えるかもしれません。
しかし実際には動物性タンパク質から作られるため、ヴィーガンの人々に対しては使用できません。
代わりに使えるのがアガー(ゼリーの素)です。これは紅藻類から抽出され、料理で広く利用されています。
紅藻類には増粘や安定化の作用があり、軽い泡を作れるだけでなく、ゲル状や球状にしたり、その他の分子ミクソロジーで用いられる固形的な形態を作ることも可能です。
ひよこ豆か、それとも卵か?
注意してほしいのですが、卵白はヴィーガンに不向きなだけでなく、サワー系などで使うとサルモネラ菌などによる食中毒リスクを高める可能性もあります。
そこで登場するのがアクアファバです。これはひよこ豆を煮たときに得られる液体で、卵白の優れた代用品となります。
作り方は簡単で、冷蔵庫で長期保存でき、独特の卵臭を出さずにしっかりとした泡を保つことができます。
植物由来のファットウォッシュ
さて、ここでファットウォッシュの基本を紹介しましょう。
この人気の技法は、油脂を使って他の材料から風味や質感を引き出す方法で、既に試したことがある人や少なくとも味わったことがある人も多いはずです。
ヴィーガンにとって朗報は、バターやベーコンといった伝統的な動物性脂肪だけではなく、オリーブオイルやカカオバター、ココナッツオイルといった植物性の代用品も多く存在することです。
はちみつに代わる甘味料
はちみつは特有の食感や風味、個性を持つため、ヴィーガン向けに置き換えるのが極めて難しい素材のひとつです。
しかし世界中のバーテンダーたちの創意工夫によって、ココナッツハニーやサトウキビモラセス、メープルシロップ、アガベシロップといった代替甘味料を使ったカクテルが生まれています。
これら植物由来の材料は、単なる代用品にとどまらず、新しいシグネチャーカクテルの主役となることも可能です。
マヨネーズの魔法
ここで乳化剤について触れておきましょう。
乳化剤は、調理において、本来混ざり合わない油と水を卵の力でまとめるように、二つの素材を均一に混ぜ合わせ、クリーミーでなめらかな口当たりを生み出します。
乳化剤には卵白のような天然由来のものもあれば、合成由来のものもあり、後者はヴィーガンカクテルに最適です。
ヴィーガン対応スピリッツの一覧をチェック
最後に、手持ちのウォッカやジン、コニャックなどに動物由来の成分が含まれているかどうか、意識したことはあるでしょうか。
もちろん、これら一般的なスピリッツが、ひそかに肉で作られているというわけではありませんが、製造工程の一部にヴィーガンではない要素が含まれる可能性はあります。
そこでバーテンダーやカクテル愛好家が、ヴィーガン向けカクテルの舞台裏をよりよく理解できるように誕生したのが「Barnivore(バーニヴォア)」というウェブサイトです。名前は“bar(バー)”と“herbivore(ハービヴォア、草食動物)”をかけ合わせたものです。
このサイトでは、蒸留酒に動物由来の成分が使われているかどうかや製造過程の詳細が確認でき、「vegan friendly(ヴィーガン対応)」または「not vegan friendly(ヴィーガン非対応)」の表記で、ひと目で識別できます。